土と抽象 記憶が形に生まれるとき

戦後の現代陶芸史には、土の物質性や始原性を美の拠り所とした抽象造形がしばしば登場します。いわゆる無釉の焼締陶に限らず、成形や着色の技術を駆使し、創作的な表現として土の姿を提示する作家の動向は、窯業地の括りや特定の様式という観点では捉えきれないものがあります。しかしたしかにこの系譜は脈々と存在し、21世紀に入り、いわゆるプリミティヴィズムの延長上に位置しながらもより現代的な動機に基づいて土の真性と向き合う、その営みそのものを作品のアイデンティティとする作家たちの活躍が続いています。本展では、独自のアプローチにより土の形象を追求する現代作家9名、井口大輔、泉田之也、黒川徹、五味謙二、戸田浩二、美崎光邦、三原研、宮澤章、ジェニファー・リーの表現に焦点を当てます。共通して浮かび上がる「記憶」というキーワードとともに、各々の作風から見える言葉−技の修練、幾何学性、古との対話、器形性、反復と選択、詩情など−を手がかりに、土で表現することの今日的意義を見つめます。

開催期間:2019年10月13日(日) 〜 2020年1月13日(月)

アーティストトーク
10月13日(日) 14:00 〜 三原研
11月17日(日) 14:00 〜 黒川徹、五味謙二
12月 8日(日) 14:00 〜 井口大輔、戸田浩二
益子陶芸美術館展示室/予約不要・要観覧券

開館時間:9:30 〜 16:00(10月中は17:00まで/入館は閉館30分前まで)

問い合わせ:益子陶芸美術館

栃木県芳賀郡益子町益子3021

TEL:0285−72−7555